今日は、ボーンマス時代のハウスメイトだった日本人がロンドンに来る、ということで、夕食を一緒にしました。場所は、ヴィクトリア&アルバート美術館の近くのイタリア料理屋。彼女はあと1週間でイギリスを出る、ということなので、イギリス料理を予約しようかとも思ったのですが、イギリス料理自体に問題があるのか、それとも僕たちがロンドンを知り尽くしていないせいなのか、これと言って思いつくイギリス料理屋は見つからず、イタリア料理と相成ったわけです。
このイタリア料理は、ここでもたびたび出てきた例のE嬢とその後主人のJさん(イタリア系フランス人で国籍はスイス)ともかつて来たことがあるところ。味は、そのJさんも「うん、いいんじゃない」というところなので、(イギリスのイタリアンとしては)決して悪くありません。ボリュームもなかなかのもので、消化不良になりそうなくらいの満腹に。
なので、元ハウスメイトとヴィクトリア駅で別れたあと、僕と小鴨は、腹ごなしに歩こうということになりました。ヴィクトリア駅から、ウェストミンスター・カテドラルをかすめ、ビッグ・ベンを遠目にウェストミンスター・アビーの横を通って左折、ダウニング街を横目に見ながらトラファルガー・スクエアを抜けて、僕たちがなぜか最も利用する駅であるレスター・スクエアまで歩きました。小鴨が(最近眼にした中国のアマチュアカメラマンに触発されて)あちこちで写真を撮っていたので、2キロか3キロくらいの距離にもかかわらず、結構時間がかかってしまいました。
というわけで、話は本題に(前置き長すぎる、ちゅうねん!)
ちょうどダウニング街の辺りを歩いていた時、なんとなく、四川方言(四川話)の発音の話になりました。
四川話(ここでは、とりあえず成都の方言、ということにします。)ってのは、中国語の中では、共通語である普通話と同系統の「官話方言」(まあ「マンダリン」という意味ですな。)に属するので、それとは異なる上海語、台湾語(閩南語)、広東語とかよりはずっと普通話を勉強した外国人にとってわかりやすい方言といえるのでしょう。でも、これは、あくまでも、これらの方言との対比の問題でそう言いうるに過ぎず、普通話学習者の上海語etcの理解度がほぼ絶望的なのに比べて、四川話は10%分かるかな?ってな感じですので、僕にとって難解なことに変わりありません。
さりとて、僕の場合には、成都に行けば、小鴨の親戚たち、とりわけ普通話が話せない義母とのコミュニケーションのためには四川話を理解したり、また、たとえ下手くそでも時には四川のアクセントで話したりすることがあるわけで、四川話の正しい発音を知ることは僕にとってはかなり重要なんですよね。
今のところ、僕が経験的に感じた四川話の特徴は、次のとおり(以下におけるピンイン表記については、声調記号は付していませんので、この点ご了承ください。)。
(1) 基本的に普通話の第3声が第4声的に、第4声が第3声的に発音される。
(2) 普通話のanがappleのaに、angが(普通話の)anに近い発音となる(つまり、これらの調音位置が普通話に比べて全体的に前よりになる感じかな。)。
(3) 反り舌音がない(zhがz、chがc、shがs、rが英語のzooのzと同じになる。…まあ、これは四川話に限った話ではありませんが。)。
(4) nとlの発音の区別がない(なので、小鴨は日本語でも「ハナダさん」のつもりが「ハラダさん」となってしまいがちです。ちなみに、中国人にとって一番難しい日本語の発音は、ラ行なのだそう。)。
(5) eiの発音がほぼ確実にuiになり、xueの発音がしばしばxuoになり、guoの発音がしばしばguiになる(例えば、「学習」(xue xi)は「シュオシー」のように、「国内」(guo nei)は「クイルイ」のように発音される。)。
これだけでも知っていれば、四川話の理解度は、10%から20%程度には上がるのかもしれません…。
で、これ以外でも、僕が聞く限り、普通話のeの発音(この発音は、英語にも日本語にもないものなので、表現することができません。強いて言えば、フランス語のrの発音を有声化したような音でしょうか。)は、四川話では、どうも文字に応じて2つの異なる発音のいずれかがなされているようなんですよ。1つ目は、内閣(普通話:nei ge)のge。これは、日本語の「ゲー」のような発音となり、「内閣」は(neiについて上記ルールの(4)と(5)が適用されて)「ルイゲー」と聞こえます。2つ目は、可能(普通話:ke neng)のke。これは、日本語では「コー」のような発音となり、「可能」は「コロン」に近い発音となります。
小鴨曰く、この区別は何にも意識しないで自然にやっているので基準が分からん、というのですが、いろいろと例を出して発音させているうちに、一つの仮説が思い浮かびました。
それは、「もともと入声として発音されていたか漢字か否か」ということ。「入声」っていうのは、音節が「詰まる音」で終わるもので、今でも広東語などでは広く残っていますし、日本語では音読みで「ツ」や「ク」などの音で終わるものがこれに当たります。
内閣の閣。これは音読みでは「カク」となるように、もともと入声で発音されていたもの。一方、可能の可は、音読みで「カ」となるように、そもそも入声で発音されていなかったはず。
で、この仮説に従えば、四川話では、例えば核桃(he tao:クルミ)を「へータオ」、「科学」(ke xue)を「コーシュオ」のように発音することともつじつまが合うわけで。
うーん、だらだらとしてしまい申し訳ありません。
つまるところ、今日のネタは、上記の仮説を思いついた、という話だけなんです…。
ここまで読んでくださった方、どうもすみません<(_ _)>
で、この仮説が正しいか否か、どなたかご教示いただければ幸いです。
英語をやりに来てなんで中国語のネタやねん、という突っ込みはなしにしてね。
たまには、より慣れた外国語の話もしてみたくって。
最近またネタもたまってきたので、また近いうちに、写真付きで。
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