金曜日の朝、小鴨がフランスのビザを申請するために(現在、5月にフランス・イタリアを旅行する予定です)、木曜日の午後からロンドンに出かけました。中国人の場合、観光だけでも全ての日程の予約状況まで証明資料として提出しなければならず、非常に億劫です。
ビザの申請自体手続自体はつつがなく終わりましたし、こちらとしては出せる限りの証明資料を提出した(やむなく直球ど真ん中の資料ではないものもありますが、補充的資料によりカバーできているはずです。)のですが、帰りのバスの中で小鴨はビザが却下されるかもしれないといってへこんでました。でも、こちらとしてはもうこれ以上どうすることもできず、また、イミグレに関する法規の趣旨から考えても、また、行政裁量の幅を考慮したとしても、今回の小鴨のケースが却下される理由はないのですけど。まあ、いずれにせよ、10日後を待ちましょう。
それにしても、フランスのビザセンターに申請に来る中国人の多いことといったら!僕が小鴨に、「ここで『張さん!(小張!)』(=中国でもっともポピュラーな姓の1つ)と叫んだら、3人くらい振り向くんじゃないか」と冗談を言っていたのですが、後で名前を呼ばれた人の中に果たして張さんを発見!あながち冗談でもないかも。
で、そのせいなのか分からないのですが、ビザセンター自体も各所に中国人を雇っていて、小鴨のケースでは、資料を受理する人も中国人でした。なので、イギリスでフランスのビザを申請するのに中国語を使ってやり取りするという、なんともへんてこな状況が現れたのでした。そして、きわめて無愛想なところは、中国の鉄道の駅の切符売りのおばちゃんを髣髴とさせ、「まあ、しゃーない。彼女には何らの判断の権限も与えられていないんだから」と、怒る小鴨を慰めつつ、僕もなんとなくむかついていたのでした。なんでイギリスで中国にいるような思いをせんならんのか、と。
で、極めつけは、カウンターの前で「○○さん、何番カウンターへ」と言って人を振り分けていた係員の中国人女性。もう、その顔といい、髪型といい、化粧気のない顔といい、着ている服といい、つまらなそうにあくびをしている姿といい、もう100点満点のthe 中国人でした。唯一違うところは、しっかりと英語を話しているところだけでした。
そういった中で、僕と小鴨は、日本人の顔と中国人の顔の違いってどんな感じなのか、ということを議論しました(実際、少なくとも日本人については、僕も小鴨も相当の高率で見分けることができます。)。で、僕の意見は、「中国人は、常に『自分の得た食べ物は絶対に譲らないぞ』という強い意志をかもし出している。一方、日本人は、特に戦後世代はとにかく顔がのほほんとしている」というもので、これには小鴨もおおむね同意。そう、日本人って、とにかくみんな表情が「天下泰平」なんです。日々の食糧に対する苦悩などないかのように。
いや、もちろん、実は日本人は自己の食文化にものすごく愛着(執着?)があるし、現時点で日本で起こっている事象、そして歴史的にも、日々の食糧に対する苦悩が全くないといえばウソになります。でも、歴史を紐解いてみれば、「食べ物がない」ことに対する人民の反乱が国家の存亡自体を揺るがしたこと、というのもないんじゃないでしょうか(一揆とか米騒動とかがあったにせよ)。
一方、中国における為政者の徳とは、まずもって「治水」を前提とした「食の提供」であるように思われますし(例えば堯の時代の「鼓腹撃壌」の故事や、なぜ禹が初めての世襲王朝を開けたのかという点をご想起ください。)、王朝の交代自体が農民反乱と結びついていることも1度や2度ではありません。なので、中国人(特に漢族)の顔つきが食に対する一種の「執着」と関連するとしても、それは全くおかしい話ではないんじゃないか、と思うんですよね。そして、そうでなければ、あれだけ華やかな食文化を築くこともなかったのではないか、と。
閑話休題。
その後、中華街に出かけたのですが、まあ、どうしても食事に関しては、中華街が何かと便利なので行ってしまうんですよね。結局、滞在期間の夕食はいずれも中華街で四川料理×2、日本料理(ここはロンドン価格的には安くてうまかった!)×1。もちろんここでも中国人が一杯!
中国人は、今や世界どこでも、それこそボーンマスのような田舎町ですら、しっかりと根を下ろして生活しているということをひしひしと感じます。これと対抗できるのはインド人でしょうが、インド人はまだまだ極東アジアでは根を下ろしきっていないように思われます。ともあれ、これらの人たちは、さすがに華僑・印僑、といわれるだけあります。日本人にはここまでのたくましさはないよなぁ、と(逆に言えば、国外に定住すべき必要性もなかったからか?)。
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そうそう、今回、僕も小鴨も、それぞれ、スリに遭いかけました。僕はロンドン塔の近くで、小鴨は中華街で。いずれのケースも、おそらく中東系の二人組で、一人が監視役、一人がスリ役です。二人組は観光客を装っていて、スリ役は地図を読むフリをしてリュックサックなどのファスナーを空けて中のものを取り、おそらくその後すぐに監視役に手渡しして白を切るのでしょう。僕のケースでは、ぶつかったのではない、何かリュックが不自然に引っ張られる感覚を感じた瞬間に体をかわしたのでファスナーを空けられることはありませんでしたが、小鴨の場合には、リュックの一番外のポケットにに手を突っ込まれるところまで行ったようです。幸いにして何も盗まれはしませんでしたし、そこにはあまりたいした物も入っていなかったのですが。
ともあれ、ボーンマスの生活が長すぎて気が緩んでいるようです。上海ではいつもかばんを前に抱えると貸していたのに。ロンドンは、やっぱりスリにはご用心!特に人ごみの中は危ないですよ!
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