その昔、大阪湾は「茅渟(ちぬ)の海」と呼ばれていたそうです。
で、そこでよく獲れたからでしょう、関西ではクロダイのことをチヌというのですが、このことは、釣りをやったことのある人なら一度は耳にしたことがあるんじゃないか、と思います。
まあ、このチヌは釣りの対象としてもなかなか面白いヤツで、僕も子供の頃(大体中学生の始め頃くらいまで、かな?)、叔父に連れられて(いや、叔父に無理にくっついていって、が正確なのかもしれませんが)、大阪南港にチヌ釣りに出かけたりしたものです。僕自身は大した腕もなかったのでそんなに釣ったわけではありませんが、20センチを越えてくるとそれなりにぐいぐい引いてくる感覚は、今も忘れずにいます。
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昨日、小鴨がチャイナタウンで「何の魚か良く分からないけど、とりあえず魚を買ってきた」と言いました。中華料理でよく使う魚といえば、川魚ではコイ、ソウギョ、レンギョ、ナマズといった辺りですが、どれもあまりイギリスで手に入りそうにも思えません。一方、海魚といえばハタの類(いわゆる「○○斑」と名前の付く連中…基本的に高級魚)、イシモチ、スズキ、イシビラメ(多宝魚)辺りが中華食材としてメジャーなところですが、小鴨がその名前を知らないとなれば、これらの魚でもなさそう。
まあ、その日は、特に現物を見ることなく終わりました。
そして今日。6時にバービカンでの講義を終えての帰宅途中、何度か小鴨に電話すれども返事なし。と、向こうからコールバックがあり、曰く、「今魚と格闘している~」。なんで死んでる魚と格闘せんならんねん、と思いつつ帰宅すると、キッチンにご鎮座ましましておりましたのは、30センチ超のチヌでした。で、小鴨が格闘していたのは、はらわたをとる作業だったようです。
ところで、日本ではチヌは刺身や塩焼きで食べるのが普通だと思いますが、小鴨が作るとやっぱり中華風。チヌ君は、その後、紅焼となったのでした(紅焼というのは、言ってみれば醤油だれの蒸し煮のようなものとご理解ください。)。
処変われば品変わる。今夜は、チヌの紅焼+肉団子冬瓜スープ(冬瓜肉丸湯)+青島ビールで夕食と相成りました。最初に焼き目を入れるときにチヌの皮がはげてしまった+尻尾がない(というか、大きさがフライパンに合わないと言って、小鴨が折ってしまった!)のはご愛嬌。
もともと淡白な身は紅焼の醤油だれになじみやすい上に、ねぎ・しょうが・唐辛子のおかげで臭みも取れており、お味はなかなかのものでした!
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