ここロンドンでも、2012年が明けました。
僕たちは結局行かなかったのですが、ロンドン中心部では12000発の花火が打ちあがり、最前列の人はそのために8時間待ちをしていたとか。BBCで見ていたのですが、なかなか見ごたえがありました。
そして今日。ささやかに正月の真似事をしました。
久しぶりのお餅やお雑煮も悪いものではありません。特に、この2週間の旅行で基本洋食だった分、和食のあっさりした味は本当にほっとするものです。
…考えれば、日本人が一番伝統に忠実な日本人になるのって、この正月前後のような気がしてなりません。特に、クリスマス・イブまでは、なんかきれいなイルミネーションの中で、音楽も洋風のクリスマス・ナンバーが流れているくせに、クリスマスを過ぎると途端に和風モードに急転換!まあ、コマーシャルサイドにはそれなりの思惑があるのでしょうが、我々の気持ち自体もやっぱり「お正月」ってのは、何かこう、日本人を「日本人」に回帰させる不思議な雰囲気があるんじゃないかな、って。
そして、僕は、そういったものを全く感じなくなって3年、また、余り感じにくくなって7年ほどになるでしょうか。「余り感じにくくなった」とは、上海駐在を始めて、帰国が12月30日頃、上海戻りが1月3日頃ということが続いたからです。昨日も少し触れましたが、やっぱり何かこう、さびしいな、という感じがしないわけではありません。でも、それは自分で選んだ道だし、その代わりになかなか得がたい経験も(おそらく)しているだろうし、ということで自らを慰めるしかないのでしょうね。
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夕べ、旅行の写真をブログ用に編集しておこうと思い、スイスの部分だけをピックアップして圧縮したのですが、それでも50枚ほどになり、トホホ…といった感じです。
でも、この際ですので、一部をここでアップしておきましょう。
12月25日。僕たちは、ロイカーバート(フランス語:レーシュ・レ・バン)という、プレ・アルプスに抱かれた温泉町に出かけました。
ヌーシャテルは、それはそれはいいお天気で最高のドライブ日和!E嬢も、こんな天気はラッキーだというほどの真っ青な空です。
スイスの高速道路は無料かつなかなかよい整備状況。雰囲気は、坂のきつくない中央道か上信越道か、といった感じでしょうか。何となく日本の長野県辺りを走っているような感覚にもなりました。
車は、ヌーシャテル湖岸を南西に進んだ後、更に南に進路をとります。
正面の二つのこぶのような山は、E嬢の説明では「双子山」(←相撲とは関係ないよ!)というそうな。
…と、レマン湖が右手に見えてきました。雪を頂くスイス(orフランス)の山に抱かれた湖の色は、コート・ダジュールを髣髴させるほどの青さで、山の白のコントラストと相まって、絶景としか表現しようのない美しさです。こういったものが高速道路のサービスエリアから見えるのですから、贅沢きわまりありません。
その後、車は今度は西方向に進路を取り、シオンというところに入りました。E嬢によれば、ここら辺がスイスでももっとも豊かな場所の1つだとのこと。確かに日当たりもよく、ワイン用のぶどう畑もあたり一面に広がっています。
で、高速道路の終点からは、次第に上の写真にあるような山を登っていきました。と、道路標識がそれまでのフランス語からドイツ語一色に。そうです、我々は、スイスのフレンチ・パートからジャーマン・パートに入ったのでした。
そして、雪に覆われた森の中を元気に駆け上がってゆきます。
…そしてたどり着いたロイカーバート。あたり一面雪・雪・雪!!
まずは駐車場で車を止めて村はずれのレストランに足を運びます。車は入れず、雪道を歩くことに!
で、一応場所を確かめようと、クロスカントリースキーのいでたちで上ってきたおばちゃんにE嬢がフランス語で尋ねます。と、このおばちゃん、怪訝そうな顔をした後、"Non francais"と一言(※ほんとは、cの下にひげのようなものが付きます。)。果たしてこのおばちゃん、スイス・ジャーマンの人のようでした。で、E嬢は英語に切り替えて質問。おばちゃんも無愛想な英語で返します。九州ほどの大きさの国で、こんな状況があるってのも非常に興味深く思いました。
前を歩いているのが件のおばちゃんです。
で、たどり着いたレストランで、僕と小鴨は、地元のソーセージ料理を食べました。これがでかくて、かつ、美味!!ちなみにE嬢夫妻は、チーズフォンデュをチョイス。一口ご相伴に与りましたが、やっぱり本場はちゃうわー、と思ってしまいました。
ちなみにこのレストランのウエイトレスのおばちゃん、おそらくドイツ人だと思うのですが、E嬢がフランス語で話しかけたら完璧なフランス語で対応し、僕たちには僕たちより上手な英語でも話しかけてきました。観光地ゆえ必要に迫られてなのかもしれませんが、思わず脱帽です。これもスイスの奥の深さか?
お腹を満足させた僕たちは、いざ、ロイカーバートの街中を通り、温泉へ向かいます。
そして、温泉。
残念ながらカメラを持ち込めなかったので写真はないのですが、もう、これがすばらしいの一言に尽きます。
ヨーロッパの温泉は水着着用で、ここには屋内・屋外それぞれにプールのような温泉設備があるのですが、特に屋外のそれは、本当にプレ・アルプスの峰峰に抱かれ、ちょうど夕暮れの時間に当たっていたこともあり、言葉では言い表せないほど幻想的な風景でした。西から東にかけて赤から青へと変化する空のグラデーション、西日を最後まで浴びて赤く染まる雪の峰の頂、西に見える宵の明星と新月…。ハイジがフランクフルトであこがれていたスイスの景色はかくあるものか、とも思いつつ、日本を出て以来7年めったに入れず、特にヨーロッパに来てから全く入ることができなかった温泉を心の底から堪能したのでした。
温泉を十二分に楽しんで外に出ると、そこは、雪深いスイスの田舎の夜の風情。これもまた格別の興趣でした。
…そして、僕たちは、来た道を戻る格好で、夜の9時半、ヌーシャテルに戻ったのでした。
本当に楽しいスイス温泉紀行でした。
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というわけで、最後になりましたが、今年も本ブログにお付き合いのほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます!
そして、震災の復興にいろいろな形で尽力されている皆様に、心よりの敬意と応援を表したいと思います。