2011年6月24日金曜日

ジャポニズム

時は19世紀。フランスを中心に、ジャポニズムが(特に芸術界で)一世を風靡したとか。

この話自体は世界史の教科書でも出てくるほどの有名な話ですので、当然予備知識はあったわけですが、(カーディフだったっけ?それともルーブルだったっけ?それともどちらとも?!)実際にゴッホか誰かのジャポニズムの影響を受けた絵を見た時、そして、ここボーンマスでも、Russell-Cotes Art Museum(これが意外と見ごたえがあった!)なるところに行ったところ、しょっぱなの展示コーナーが日本コーナーだったのを見た時、なんかとても不思議な気持ちになりました。
だって、確かに当時ヨーロッパでジャポニズムが受け入れられたのは、一種の異国趣味的な部分も多々あったのでしょうけど、「ヨーロッパ社会自らが日本文化(そしてそれはおそらく当時の日本人が文明開化の名の下に進んで捨てようとしていたもの)を進んで受け入れ、吸収したと」いう紛れもない足跡を目の当たりにしたわけですから。

文化の伝播、というのは、こういうものなのでしょうね。つまり、文化の伝播のキャスティングボードは、文化を伝える側にはなく、むしろ受け入れる側にあるんでしょう。
だから、いくら「うちの文化は最高でっせ~~」と一生懸命PRしたところで、受け入れる側が受け入れなければそれはせいぜい「一時の流行」になれば上出来で、文化の伝播したことにはならない(ともすれば、「いらんものを勝手に押し付けるな!」と反発を招いてしまうんじゃないかな。)。
逆に、たとえ伝える側が何にもしなくても、受け入れる側が「あ、これいいじゃん」と思えばそれは持続的なブームになり、最終的には受け入れる側の文化の一部を構成することになるわけです。

別に僕は日本文化を何かことさら礼賛する意図は全くないものの、日本文化はおそらくジャポニズムの時代から、(おそらく戦争時代の中断はあったにせよ)連綿と自然な形でヨーロッパ文化に受容されているのではないか、と思えてならないのです。言い換えれば、僕にそう言わせるくらい、日本文化がヨーロッパの中で自然に根付いていることに驚かされてきたんですよ。

例えば芸術品。
例えば生活用品(例えば、ちょっと形は違うけど、布団は、Futonという名の下に寝具の一種として受け入れられています。)
例えばカラオケ(まあ、ここではカラオケボックスじゃなくて、例えばパブが金曜日にカラオケデーになるとかいったものですが。)。
例えば食品(アジアで広く使われる食材でも、Tofuはもとより、ShiitakeとかEnokiとかいう標記をみれば、おそらく日本経由で人口に膾炙されるようになった可能性が高いですし、日本料理自体、正統なものからヨーロッパ風に改造されたものまで、広く受け入れられていることは周知のとおりです。)
そして、言うまでもなく、アニメetcのソフトコンテンツ。

でも、次のようなことに思いを馳せると、文化の伝播に関する上のような考え方は、僕が日本人だからなのかもしれません。
…以前学校の授業の一環でプレゼンテーションをやった時、僕は、「日本の変な習慣」をテーマにしたのですが、その後の質疑応答の流れの中で、「日本というのは外来の文化を容易に受け入れる傾向にある」という説明をした時、韓国人の学生が、「それでは、自分の固有の文化がなくなってしまわないの?」という質問をしてきたんです。その時、日韓間の文化の本質的相違を感じずにはいられませんでした。
つまり、日本文化というのは、「受け入れ⇒自分たちにフィットするように消化(or昇華)」の繰り返しにその本質がある(それが本質であるゆえに、本質的部分での固有性の喪失を懸念する必要性に乏しい)一方、韓国文化は、(僕は余り歴史的に詳細に検討したことがありませんが、)少なくとも「光復」後においては、国民国家を形成する上での不可欠のイデオロギーとしての「民族の固有性」が強調された結果、「文化」も「民族の固有性」につらなる「不変の価値観」と位置づけられやすい(それゆえに外来文化の流入に対する「防衛本能」が働きやすい)のではないか、と。

これを敷衍すれば、おそらく日本と韓国とでは、「文化を伝える」ことに対する考え方もきっと違うんだろうな、とも思うんですよ。つまり、日本の場合には、自らがそうであるように、相手方にも「ワタシこんな者ですけど、お暇なら来てよね♪」的な発想にある一方、韓国の場合には、「民族性に裏打ちされたこのすばらしき文化、他の者にも教えてくれよう!」的な発想になりやすいんじゃないか、ってね。

そして、そう考えると、日本における「韓流」にかかわる各種の様相について、自分なりにストンと落ちるるところがあったのでした。

…まあ、僕は文化論の専門家でも何でも全くありませんので、これはあくまでも僕の経験に基づいた主観的意見ですし、文化の優劣を論じたものでもありませんので、この点ご了解のほどを!

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