2011年6月16日木曜日

鴻鵠の志、ならばよいのだけれど。

留学をするに当たっては、お金の問題が一番のネックになるわけですが、これが「物価の高いイギリス」かつ「2年計画」かつ「ヨメ連れ」かつ「完全自費」ともなると、相当の額を覚悟しなければなりません。
というわけで、僕は留学の数年前から何とかお金をためるのに腐心し、(たいしたことはないですが)ちょっとした資産運用の真似事などをしてきたわけです。例えば利回りのいい外貨建ての商品を買ってみたり、国内の株を持ってみたりと。

でも、特に2008年の金融危機以降、思ったようには資産は増えませんし、外為相場に至っては2006年ころのあの円安はどこへやらという円高状態が続いています。最近の動向にしたって、大地震もあり、日本がこれほどズタボロなのに、なんでこんなに円が高いのか(せめて1ドル=100円程度になれば色々楽なのに)、と思うことしばしばです。

そんな矢先、(僕にとって)ある偉い方から電話があり、近況報告がてらそんな話を振ってみました。
曰く、日本もひどいけど、他のハードカレンシー圏(特にユーロとドル)はもっと悲惨。加えてエマージング国の通貨は軒並み自由な流通が許されておらず、本来そこに入っていくべきだぶついたマネーが「まだまし」な日本円買いにつながっているんじゃないか、との分析。

僕も前者については、ユーロ圏ではないもののイギリスの経済がいまひとつなのは肌で感じていますし、ユーロ圏自体は所属国の経済破綻でやっぱりズタボロなのは容易に推測できます。スペイン人の友人が、ポルトガルが飛んだ時に「次はうちなんだけど、うちが飛んだらユーロ自体が飛ぶよなあ。でも、そうだからこそ回避に走ると思うんだけどねぇ」とぼやくくらいの綱渡り状態のようです。アメリカに至っては、日本のマスコミはなぜか余りはっきり言わないようですが、破壊力満点の債権のデフォルトの危機があるといううわさを聞いたことは1度や2度ではありません(ここのところ、僕も間接的な情報しかないので、あくまでも噂の域を出ない話ですが、少なくとも、日本がここまでひどい中で円ドル相場が円安方向に振れないのには、ドルの側にも何らかの深刻な問題があると考えるのが合理だと思いませんか?)。
また、後者については、僕は考え付かなかった分析の視点で、なるほどなあ、と思いました。その方からは面白そうな本を紹介されたので、機会があればボーンマスの本屋をあさってみようと思っています。

…そう考えると、今という時代は、いろいろな意味で世界史に残るべき歴史の大転換点なのではないか、と思ってしまうんですよ。それはきっと、冷戦終結よりもはるかに大きいくらいの。だって、経済のグローバル化という歴史上例を見ない状況下において、世界のほぼ共通の認識となっている「既存の(自由主義)市場経済」が終焉を迎えようとしているのですから。かつ、それに替わる新しい秩序が一体何であるのかが誰にも分からない。僕も色々考えてみたのですが、当然分かるはずもなく。
…結局、世界の多くが感じているであろう時代の閉塞感は、出口のないトンネルを進んでいることに原因があるんじゃないか、と思わずにはいられません。

でも、ある意味、そういう時代だからこそ、今一度仕切りなおしがてらこうやって留学できていることは、とても幸せなことなのかもしれません。だって、日々のしがらみから離れて、思考を純化することができるのですから!
なので、僕は、この留学を通じて、「夜明けのない夜」に夜明けがあることを指し示すことに少しでも貢献できる人間になれればなあ、と壮大なことをふと考えてしまうのでした。

…とは言いつつも、それが同時に「円安になってくれ!」という私的願望にもかかわってくるよな、と思うと、僕の志もまだまだ燕や雀のレベルなのかもしれません。

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